資産形成の手段として利用されることが多い投資信託ですが、「円建て」と「ドル建て」のどちらを選ぶべきか迷う方もいるでしょう。
両者には異なる特徴があるので、投資の目的やリスク許容度によって選択肢は変わってきます。
投資信託を始める前には、自分に合った通貨建てを見極めておきたいところです。
この記事では、円建てとドル建ての違いをわかりやすく整理しながら、それぞれのメリットや気をつけたいポイントをお伝えします。
円建てとドル建ての違い

投資信託には、円を基準として運用される商品もあれば、米ドルなどの外貨を基準とする商品もあります。
一般的に、基準価額や分配金の表示・受け渡しが米ドルで行われるものを「ドル建て」、日本円で行われるものを「円建て」と呼びます。
違いを以下の表にまとめました。
項目 | 円建て | ドル建て |
---|---|---|
通貨 | 日本円 | 米ドル |
為替リスク | なし(または軽微) | あり |
為替手数料 | 不要 | 必要 |
為替差益の影響 | なし | あり |
利回りの傾向 | 低い | 高い |
円建て投資信託のメリット・デメリット
ここで、円建て投資信託のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 為替変動の影響を受けにくい
- 為替手数料が不要
- 初心者が取り組みやすい
円建ては為替リスクが小さく、投資成果の予想もしやすい点がメリットです。
基準価額や分配金の受け渡しは日本円で行われるため、為替手数料がかかりません。
初心者が取り組みやすい運用方法といえるでしょう。
デメリット
- 海外市場のリターンを受けにくい
- 成長性が限定的
円建ては、海外市場の成長機会を取り込むことが難しい面があります。
特に日本国内の株式や債券を中心とした運用では、国内経済の成長率に投資リターンが左右されやすく、長期的な資産成長が受けづらいです。
ドル建て投資信託のメリット・デメリット
次に、ドル建ての投資信託のメリット・デメリットをお伝えします。
メリット
- 米国株やグローバル株式に投資できる
- 長期的に高いリターンが期待できる
- 通貨分散にもなる
ドル建ての投資信託は、米国株式や世界の株式・債券など海外の成長市場に投資でき、米国経済やグローバル企業の成長の恩恵を受けやすい点が魅力です。
米国株を中心としたドル建て資産は、過去の実績からみても日本株や円建て資産よりも高いリターンを上げてきた例が多くあります。
また、ドル建て資産を持つことで円だけに偏った資産構成を避けられるといったメリットもあります。
デメリット
- 為替相場によって元本が減るリスクがある
- 為替手数料がかかる
- 投資判断が複雑になる
ドル建ては、為替変動の影響を受けます。
仮に円高ドル安が進行した場合、ドルベースでは利益が出ていても円換算では元本割れする可能性があります。
また、円をドルに両替する際には為替手数料がかかるため、コストが上乗せされる点にも注意が必要です。
アメリカをはじめとする海外の経済や、政治情勢が価格に影響するなど複数の不確実要素が絡むため、慎重な投資判断が求められます。
円建て、ドル建てどちらを選ぶべきか?

結局のところ円建てとドル建てどちらを選べばよいでしょうか。
以下の視点で検討すると判断しやすくなります。
円建てが向いている人
- 為替リスクを避けたい
- 初心者でシンプルな投資から始めたい
- 日本国内の安定資産を中心に投資したい
円建ての投資信託は、為替変動によるリスクを避けたい人に適しています。
仕組みがわかりやすいため、投資に慣れていない人や、日本円だけで完結する運用を始めたい人にもおすすめです。
また、日本企業の安定した配当や、国内経済の成長を重視する場合にも円建てを選ぶのが合理的です。
ドル建てが向いている人
- 米国株など成長市場に投資したい
- 大きなリターンに期待したい
- 長期で積立・運用を続ける予定
米国をはじめとする海外市場の成長力を取り入れたい場合や、為替の変動をリスクではなくチャンスととらえられる人に向いています。
特に長期的な視点で運用する場合は、短期的な為替の影響が相対的に小さくなるため、外貨建てのメリットを活かしやすくなります。
まとめ
投資信託では、円建てかドル建てかによって、為替リスクや値動きの特性が異なります。
為替の影響を避けたい人や、まずは仕組みがわかりやすい商品から始めたい人には円建てが向いています。
一方、外貨資産を保有したい場合や、海外市場の成長性を重視する場合にはドル建ても有効です。
投資期間やリスクの考え方、資産全体のバランスを踏まえて検討してみましょう。