投資を始めるなら、まず理解しておきたいのが「複利効果」という考え方です。
資産形成では、この複利効果が将来のリターンに大きく関わってきます。
この記事では、複利効果の仕組みや投資で重視される理由をわかりやすく解説します。
さらに、新NISAで購入できる投資信託を通じて、どのように複利効果を活かせるのかも紹介します。
長期的な資産形成を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
複利効果とは

複利効果とは、投資運用において得られた収益を元本に加えて再び運用することで、収益がさらなる収益を生む仕組みです。
ここでは、複利効果がどのように資産形成に役立つかをなるべくわかりやすく解説していきます。
単利運用と複利運用の相違点
投資には「単利型」と「複利型」の2種類があります。
両者の最大の違いは、運用で得た収益を再投資するかどうかです。
単利運用では、収益はあくまで元本に対してのみ発生します。
たとえば、100万円を年利5%で運用する場合、単利では毎年の収益は5万円で変わらず、3年間で得られる総収益は以下のとおりです。
- 1年目:100万円 × 5% = 5万円(元本100万円)
- 2年目:100万円 × 5% = 5万円(元本変わらず)
- 3年目:100万円 × 5% = 5万円(元本変わらず)
3年間の収益合計は15万円。
この場合、資産総額は115万円になります。
一方、複利運用では、毎年の利益が元本に加算されていきます。
- 1年目:100万円 × 5% = 5万円 → 元本が105万円に
- 2年目:105万円 × 5% = 5万2,500円 → 元本が110万2,500円に
- 3年目:110万2,500円 × 5% = 元本が5万5,125円に
3年間で得られた収益合計は15万7,625円。
つまり、単利と比べて7,625円多く増える結果になります。
あまり大きな差に思われないかもしれませんが、この差は年数が経つほど大きくなっていきます。
単利運用:毎年5万円の収益 → 合計利益50万円 → 総資産150万円
複利運用:利益を再投資 → 合計利益約62.9万円 → 総資産約162.9万円
⇒ 10年後には約12.9万円の差が生まれます。
このように、収益を再投資することで資産が加速度的に増えていく仕組みが「複利効果」です。
時間が経つほど、単利との違いが大きく広がっていきます。
複利効果を活かす投資戦略

複利効果をしっかり得るためには、運用の仕組みや投資商品の選び方に注意が必要です。
ここでは、効率よく複利を働かせるための具体的なポイントを整理します。
無分配型の投資信託を選ぶ
複利効果を最大限に活かすには、運用益をそのまま再投資に回す「無分配型(再投資型)」のファンドを選ぶことが基本です。
分配金が定期的に支払われるファンドでは、その都度収益が確定してしまい、再投資による資産の増加が妨げられます。
特に、長期で資産形成をめざすなら「分配なしで再投資されるタイプ」を優先的に検討すべきです。
安定成長を続けるファンドを選ぶ
複利効果は「収益が収益を生む」サイクルが前提となるため、右肩上がりで成長しているファンドを選ぶことが重要です。
基準価額が安定して上昇している商品であれば、再投資が効果的に働き、資産を着実に増やせます。
反対に、値動きの大きいファンドでは運用益がマイナスになる期間もあり、複利のメリットが薄れる可能性があります。
長期保有を前提にする
複利効果は時間の経過とともに加速度的に拡大していくので「時間を味方につける」ことが重要です。
せっかく再投資型の仕組みを選んでも、途中で売却してしまうと効果が途切れてしまいます。
複利を活かした資産形成を考えるなら、短期の値動きに惑わされず、できるだけ長く保有し続けるという姿勢が基本になります。
新NISAが複利との相性がよい理由

ここまで見てきたように、複利効果を活かすには「再投資の仕組み」「安定的な成長」「長期保有」が重要です。
この条件を満たす環境として、新NISAは非常に相性がよいと言えます。
なぜ新NISAが複利投資に向いているのか、具体的に見ていきましょう。
新NISA対象商品の優位性
新NISAのつみたて投資枠は、国が定めた条件を満たした投資信託のみが対象となります。
つみたて投資枠の商品は再投資型が中心なので、複利の効果を享受できるようになっています。
また、つみたて投資枠に採用される商品は、手数料が低水準で、長期・分散・積立に適した設計となっており、複利を効かせた資産形成に適しています。
つまり、新NISAの投資対象そのものが「複利を活かしやすい商品群」であるという点に強みがあります。
長期保有が前提の制度設計
新NISAは、年間の非課税投資枠を使って毎年積み立てていく仕組みです。
運用期間が長くなればなるほど再投資による元本+運用益の合計が増えるため、指数関数的に複利効果も大きくなっていきます。
この投資元本と運用期間が同時に拡大していく構造こそが、新NISAで複利効果が高まる最大の要因です。
制度自体が長期的な保有を前提に設計されているため、時間の経過とともに資産がふくらみやすくなっています。
まとめ
複利効果とは、運用によって得た利益を再び投資にまわすことで利益が新たな利益を生む仕組みです。
新NISAの「つみたて投資枠」では、運用益が自動的に再投資されるタイプの投資信託が基本なので複利を取り入れた資産形成が自然に進められます。
複利の効果は、投資を長く続けるほど大きくなります。
新NISAに限らず、資産運用を考えるときは複利を意識した長期的な視点を持ちましょう。